父親から注意をされない長男は、家で暴力を振るっても止める人がいない為どんどん横暴になっていった。
長男にとって父親が代表取締役をしているという事が、まるで自分のステイタスのように自慢であるようで友達に自慢していたようだ。
それは自分に自慢するものが無いという自信の無さからくるものであろうが。
自分のプライドをそうやって保っていたのだろう。
A君のお父さんからも「旦那さんは社長なんだろう?子供1人抑えられないで会社なんか運営出来るの?」と前に言われた事があった。
それを聞いて長男は父親の事を周囲に言っているのだなとわかった。
私からすれば、子供に父親らしく注意も出来ず良い顔をして問題から逃げているズルい人であったが、男の子からしたらそういう風に思うものなのだなと溜息をついたものだった。
長男はあるエネルギードリンクを好んで飲んでいたが、私はそれをなるべく飲ませたかなかった。
何故ならそれを飲むと寝れないようで次の日の学校を行き渋っていたからだ。
なので、夜に飲まずにせめて夕方に飲むように言っていたのだが、必ずお風呂上がりに飲みたがった。
2日くらいズル休みが続いた夜に私は長男が買ってきていたエネルギードリンクを隠した。
朝に出してあげるからと説明して、ジュースで我慢するように言った。
それに怒り狂った長男は「出せ」と執拗に付き纏った。
あまりにしつこいので渡したが、一度ついた怒りが消えず、その後も嫌がらせをしてきた。
寝ている私の頭にエネルギードリンクをかけてきたり、扇風機を私の頭にわざと倒してきたり、「死ね」「お前なんか生きてる価値が無いんだよ」「そこから飛び降りろ」など聞くに耐えない言葉で私を責め立て寝せなかった。
肩をどついたりされ、暴力を止めるように言うと「殴ってないだろうが。クソが。」と殴らなければ暴力では無いと思っているようで、それは間違いだと説明しても馬鹿にしたような顔で私をわざと突き倒してきた。
私が大きな声で止めるように言った事で更に大声で反論する長男。
あまりに大声でわめき散らすため、あの人が起きてきた。
長男をなだめるように背中をさすり、「こんな夜中にやめとけ。こんな奴に何言っても無駄だろ。お前の損になるだけだろうが」
そう言いながらあの人の部屋に2人で入っていった。
少しして長男が部屋から出てきたが、私を見て「お父さんがキチガイは相手にするなって言ってたよ。お前は頭がおかしいからって」
嘲笑うように言って部屋に入っていった。
ダメだ。
あの子はあの人に洗脳されてしまっている。
私はどうすればいいのか分からなかった。
去年まであんなに仲が良かったのに。
どうしてこんなになってしまったんだろう。
一つだけ去年と違う事があるならば、あの人が取締役になり家にいるようになった事だった。
それまで週に半分もいなかったし、子供達と接する事がなかったのに。
あの人がしてきた異常な行動を子供に話す事は出来ない。
父親が生理用ナプキンを、しかも使用済みの。
会社のトイレから盗み持ち歩いていた事があるなんて、言えない。
なのに、私が頭がおかしいとあの人は子供に言う親なんだというジレンマに本当に頭がおかしくなりそうだった。