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中学3年になった長男は勉強もせず、塾もサボりまくりで当然成績は低空飛行だったが、進学を考える時期になっていった。
相変わらず興味の対象はA君一択で、A君の両親と私は頭を抱える日々を送っていた。
A君と一緒の高校に行きたい長男と、離れたいA君親子。
何もしてくれない父親。
このままではダメだと思った私は覚悟を決めた。
あの人を残して、子供達を連れて田舎へ戻る事にしたのだ。
転校させよう。
そう決めた。
夏休みの途中で、元に住んでた土地に戻ろう。
元の場所なら高校も決めやすいし、子供達も幼馴染がいる。
子供達に話すとやっと馴染んできたのにと少し寂しそうではあったが、懐かしい場所に戻る事は嬉しいようだった。
A君のお母さんにも伝えると心の底から安心したようだった。
高校までも付き纏われるんじゃないかと心配していたようだったから。
私も味方が居ない状況からやっと抜け出せると思うとホッとしていた。
昔のあの子に戻ってくれるんじゃないか、また楽しく子供達と過ごせるかもしれない。そう思った。
長男も昔の友人に会えるのは嬉しそうで少し楽しみにしているようだった。
長男もだいぶ落ち着いてきて、A君以外の友達と夏休み遊ぶ事が増えてきて私達親同士も安心していた。
これで八方良しだと思っていたのだが、やはり
それで終わる訳がなかった。
夏休みの終わり、引っ越しの約一週間前ある事件が起こった。