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A君がウチで一時間くらい待っていたが、長男は連絡しても通じず、帰っても来なかった。
あの人に探しに行ってもらい、私とA君と少しの間待っていたが、A君のお父さんから帰っくるように言われて帰っていった。
私はぐったりと疲れ、長男が戻るのを待った。
あの人はどこを探したのか、1人で戻ってきて
部屋にこもってしまった。
夜になり長男が帰ってきたが、部屋に入ってしまい話しをすることは出来なかった。
私はあの人に長男を連れて、A君の家に謝りに行って欲しいと頼んだ。
私ではダメだ
父親が自分の前で頭を下がる事が大事だ。
長男にも謝らせて欲しいと。
ところが、あの人はこう言った
どうせ転校させるんだから良いだろう。
俺は行かない。
謝りたいならお前が行け。
お前が一人で育てた結果だろうと…
もうダメだ
何度も思ったけど今度こそもうダメだ
心底怒ると、心が冷たく静かな氷のような怒りが込み上がってくるのだと知った。
長男を謝らせたかったけど、私では制止が効かないのが目に見えていたため、1人で菓子折りを持って謝りにいった。
A君のお母さんは笑いながら、大丈夫だと言った。
衝動的にカミソリを握って手首に当ててしまったのよ、子供達に心配かけてしまった。
恥ずかしい、と。
私は手首に巻いた包帯を見つめながら、父親が来れなかった事と子供が迷惑をかけた事を詫びた。
A君のお母さんは私を責める事はなく、引越してもお元気で…と言った。
申し訳なくて何度も謝った。
夜にAに長男に電話をさせるから。
自分の気持ちをハッキリ伝えるように主人が叱ってたから。
Aもハッキリ言えないでいたのが悪かったの。
長男は部屋に籠っていたが、翌朝ケロっとして起きてきた。
もうA君の家に行かないようにと伝えると、分かってるとだけ言った。
それからはあっという間に引越しの日になった。
やっと楽になる
そう思ったのだが…
それからも問題はやってくるのだった