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その頃の私は信じていた。
子供達が育った懐かしい場所に帰ったら、きっとまた昔のあの子に戻ってくれると。
東京に転校した頃は戻りたいと何度も言っていたのに、あんなに切望していた幼なじみ達のいる学校に戻ったのに長男のサボり癖は治らなかった。
元いた学校へ戻って2日目、学校から長男が居なくなったと連絡が入った。
家には戻ってない。
先生と近くを探してまわったが見つからなかった。
学校で何かあった訳ではなく昼ご飯を食べた後から居なくなったという事だった。
夕方になり帰ってきた長男が「もう学校行かない。中学は辞める」と言い出した。
理由を聞いても「行っても無駄だから」と言うだけで埒が明かない。
私が幾ら話しても聞く耳を持たず当たり散らす長男に困った私は、あの人のお兄さんに説得をお願いする事にした。
理由を説明し、何とか学校に戻るよう説得して欲しいとお願いした。
車で1時間半ほどかけて連れて行き長男と義兄で話しをしてくれたが、長男のいつものやり口で親が仲が悪い事で子供が苦労をするという語り口にまんまとハマり、自分に同情をさせる方向へ話をもっていったようだ。
結局、長男の気持ちは変わらずしばらく学校を休んでいた。
困っていた時、友達にあの人にお願いしてみたら?と言われ思い出した。
懇意にしていた霊能者さん。
事情を話し家に来てもらう事にした。
長男の怒った時の豹変ぶりが悪いモノでもツイてるんじゃないかと思うほどだったので見てもらおうと思ったのだ。
縋れるものなら神でも仏でも何にでも縋りたかった。