出産
結局、目をつぶってしまった私は 一見何事もなかったかのような日々を過ごしていた。
生まれてきた子どもは天使のように可愛い子で。
私は勿論、周りの大人達は皆 夢中になった。
あの人の両親は午前、午後と分かれて来たし。
毎日、休む事なく孫の顔を見に来た。
産んで5日後、退院した足で真っ直ぐ向かったのはあの人の実家だった。
親戚一同集まって宴会が行われた。
そして ようやく解放されたのは夜中の2時過ぎ。
それから帰っても赤ん坊が寝せてくれるはずもなく。
次の朝には義母から電話があった
「もしもし〇〇ちゃん?今から親戚の誰々が来るから赤ちゃんウチに連れて来てくれんね」
私は泣いた。
マタニティブルーというのだろうか。
感情がもう止まらなかった。
「なんで?私もキツイ。産んでまだ5日よ。退院して真っ直ぐ家に帰れないだけでなく夜中に帰って。あなたはグーグー寝てたからいいでしょうよ!」
結局、あの人は赤ん坊を連れて行ってしまった。
私のヒステリーに辟易したようだった。
それから義両親の毎日朝から晩までいる攻撃が三か月くらい続いただろうか。
子どもが小さくどこにも出かけられない事をいい事に。
誰が来ようと帰らなかった。
私の母だろうと友達だろうと職場の人だろうと。
ちょっと評判になつたくらいだ。
私の友人連中の間で。
三か月くらいに育つと首も段々座ってくるし出かけやすくなる。
同じアパートのママ友連中から同情の目で見られていた私はよく匿ってもらっていた。
私は自分からあの人の実家に行くようになっていた。
その方が自分の都合で帰れるからだ。
段々とウチに来なくなってきた両親には悪いが私の神経がやられないためには
必要な措置だった。