嵐のような中で
夜中の工場で働き始めた私は昼間に1歳の次男を見ながら、夜中の12時過ぎから朝方6時まで工場で働いた。
昼間は次男の世話プラス家事プラス長男のママ友との付き合いもこなしていた。
この頃の私の睡眠時間は2時間から3時間くらい。
身体はボロボロで常にフワフワしていた。
例えていうならインフルエンザの熱に侵されている状態が毎日続いているようだった。
朝、仕事が終わって帰ると朝ご飯の用意をして洗濯物を回して。
子供達を起こして幼稚園の準備をさせて。
幼稚園に送って行ったら片付けと掃除と食事の準備をしながら、隙間にママ友との付き合いを結構頻繁に入れていた。
毎日があっという間で、毎日何をしたのかも分からないような日々だった
しかも、神経質な長男は私が隣に寝てない事を敏感な感じるらしく、明け方に布団から抜け出すようになったのだ。
そんな日が半年ほど続いたある日、あの人のお給料が上がった。
ちょうど不足分くらいアップするらしいと聞いてホッとした。
ホントにキツかったので、やっと子供達と一緒に寝てあげられると安心した。
ところが、あの人が言った言葉は私の希望を打ち砕いたのだった。
給料は上がるけど全部俺の小遣いにするから。
そう言ったのだ。
小遣いがなんと12万必要だと言った。
つまり、私は夜中の工場を辞められないということだ。
おかしいと思わないのだろうか?
妻が子育てと家事をしながら夜中の工場で働いてクタクタになっているのを見ているのに、小遣いを12万くれという。
世の中の奥様方は皆これを許すのだろうか?
勿論、私は反論した。
そんなのおかしい。
何故、そんな馬鹿な言い分が通ると思うのかと。
自分の思い通りにならないとキレルあの人は当然、猛然と反論してきた。
その夜、私達は大喧嘩した。
隣の友人から次の日 指摘されるくらい大きな声で。
結局 あの人は小遣い10万を勝ち取り私は夜中の工場を続ける事になった。
小遣いが増えたあの人は、私が仕事で家を出る時間になっても帰って来ない事が増えるようになった。
子供が心配で早く帰ってくるように言うと、飲みに行ってたあの人は渋々タクシーで帰ってきた。
そして翌朝、仕事から帰った私にこう言った。
お前のせいで帰ってきたんだからタクシー代を払えよ。
私が夜中に働く時の約束で一時までに帰って家にいる事が約束だったのに。
あの人の忘れていった携帯で次男が遊んでいた時に沢山の絵文字(明らかに女性からのメール)が並んだメールが目に入ったが、身体があまりに疲れ過ぎていて深く考えられなかった。
ホステスさんか、浮気なのか?
どちらにしても私を夜中に働かせて増えた小遣いで女の人と遊んでいる事は理解した。
ただ、私はなんのために働いてるんだろうと悲しかった。
私は次第に心を閉じていった。
子供さえいれば良い。
それだけで生きていた。